2010年02月22日

035【東京カップ】「社会人サッカーの挟持」(東京カップ1次戦Bブロック準決勝/2月14日/CERVEZA FC東京 vs. 東京ベイFC/あきる野市民運動広場)

 今年も東京カップの季節がやってきた。「天皇杯予選のさらに予選」であり、「全社関東予選のさらに予選」である東京カップ、その1次戦は、冬のもっとも寒い時期におこなわれる。
 秋春制反対、などと叫んでも仕方がない。3月開催の2次戦から逆算すれば、どうしたってこの1月末から2月末までの1ヵ月に1次戦を消化するしかないのだから。

 サッカーを愛好する大多数の成人男性は、本業をまっとうしながら、男子第1種登録をし、週末に全国社会人サッカー連盟主催の大会に出場する。彼らがサッカーのために自由にできる活動日数は、基本的には年間50日+αしかない。いくらJリーグをめざすチームや選手が増えようが、社会人の都合を考えずして、サッカーカレンダーを作ることなどできない。地域決勝にしても、あれはそもそもJリーグへの関門などではなく、単に全国に散らばった社会人が集う大会だ。少しでも勤労時間に差し支えないように配慮した結果が、現行の金土日×2ラウンド制なのだ。開催間隔を空け、キックオフ時刻を昼以降にしたなら、試合の消化によけいな時間がかかってしまう。社会人にそんな負荷をかけていいはずがない。

 ことしの東京カップは、最強レベルの5チームが2次戦シード。1次戦では準々決勝シード、2回戦シード、1回戦から出場の3つのレベルに分かれる。天皇杯の本選同様に不平等な組み分けをしているわけだ。

 もし全チームを横一線にならし、フラットなトーナメント表に整形したとしたらどうなるだろう? 試合数は均等になり、暖かい時期に日程をずらせるかもしれない。しかし実力差のあるチーム同士が初戦でぶつかり、10-0のスコアが頻発するようなら、コンペティションとして大きな問題がある。現に今大会では1次戦の準々決勝まで進んでいながら、東京ベイFCが目黒FCを10-0の大差で下している。実力が下位のチームには、それ相応に活躍できる機会を与えるべきだ。

 いびつなトーナメント表が社会人チームに与えるのは、リーグ戦開幕前に自分たちの実力を測る機会だけではない。年間50週しかない活動機会のうちの1週間から1ヵ月を、充実したものにしないでどうするのか。競技としての満足度は、できるだけ欠かさないほうがいい。
 1次戦の1回戦や2回戦を接戦で勝ち抜け、準々決勝や準決勝で強豪に敗れたなら、身の丈にあった満足とあきらめが得られるだろう。

 みんながみんなプロになるわけではない。ある一定の条件のなかでどれだけ磨きをかけられるか、そこに注力するアマチュアプレイヤーが、それなりに手応えのあるサッカー人生を送れるようでないと、この国のサッカー文化が豊かになったとはいえないと思う。

 一年ぶりの更新のせいか、すっかり前置きが長くなった。1次戦Bブロック準々決勝シードの東京ベイFCは、前述の通り、目黒FCとの「目黒川ダービー」を10-0の大差で制して準決勝へと勝ち上がってきた。前年に初戦の準々決勝で敗れた鶴巻SCは別ブロック、しかも1回戦負けとあって、ベイの視界にはまったく入ってこない。そのせいか、余裕の勝ち上がりだった。

 すっかり1部の上位に定着した東京ベイFC(昨季は14チーム中4位)に対し、CERVEZA FC東京は2部の2ブロック優勝を果たして今季1部に戻ってきた(2部は3ブロックに分かれ、各ブロックの優勝チームが1部に自動昇格)ばかり。準々決勝シードとはいえ、昨季2部3ブロック3位のFC.OZZAを2-1の接戦で下しての準決勝進出である。一見、ベイと同格とはいえないように見える。

 下部組織を整備、元JリーガーやJFL選手を多数擁し、JFLを狙うと公言するベイと、純粋な社会人クラブチームであるCERVEZAとでは、たしかに土俵がちがうと言っていいだろう。しかし純粋な練習機会の多さだけを比較すれば五十歩百歩だ。CERVEZAにチャンスがないわけではない。
 はたして、試合は好ゲームとなった。

 中学校の校庭とつながったあきる野のクレーコートはまさに校庭にすぎず、前夜の雨でぬかるんでいたが、それに文句を言う選手は、どちらのチームにも、ひとりもいない。第一試合が終わった後、凸凹になった地面のうえで、いかにいいプレーをするか。それだけを考えていた。
 試合間隔の詰まった1次戦は、35分ハーフの70分制でおこなわれる(2次戦は90分制)。この短い時間をどう戦いきるか。互いにシステムは中盤がフラットな4-4-2。都リーグスタンダードなフォーメーション同士、真っ向からぶつかった。
 カテゴリーが下といえど、サッカーをなめた様子は微塵もない。シャツからソックスまでが真っ赤に染まったCERVEZAと、全身青のベイが激しく体をぶつけあう光景は、リバプール対チェルシーを思い起こさせた。

 コートのコンディションによるものか、基本的には蹴り合いとなった。ファーストハーフの35分を優勢に運んだのはCERVEZAだ。ロングボールを蹴り、スペースの裏へ走り、コーナーキック、フリーキック、ロングスローのチャンスを駆使してベイのゴールに迫った。
 いっぽうのベイはなかなかラインを押し上げることができない。前線で起点となっていた16番のFWイゴールが2、10、6番の3人に囲まれてボールを奪われるなど、手詰まり感があり、逆にCERVEZAの堅実な守備が光った。少々荒れ気味ではあったが、それだけ真剣なフィジカルコンタクトが実践されていたのだろう。

 ハーフタイムを挟み、今度はベイがターボスイッチを入れる。最初の15分は4本のシュートを放ったベイがペースを取り戻した。だが、その後は一進一退の攻防がつづく。ほぼ1分おきに双方のチームに決定機とセットプレーがあり、メモ帳がファーストハーフよりも早いペースで埋まっていく。セカンドハーフの25分には、ベイは切り札の7番MFホルヘ(元福岡ブルックス)を投入。ファーストタッチでピンポイントキラーパスを放ち、以後セットプレーを仕切ってチャンスを作り続けるが、それでもゴールは生まれない。
 終盤まで0-0の状態がつづき、誰もがPK戦突入かと思ったセカンドハーフの34分に事件は起きた。

 ベイの前線にロングボールが上がる。25番のFWがCERVEZAのDFに競り勝つと、それを信じて後方から猛然と走り込んできた、途中出場のFW内山がボールを拾う。相手DFふたりに挟まれながら無理やり打ったシュートは、DFの足に当たりつつコースを変え、GKが重心を落とした左とは逆の右へと転がっていく。
「コロコロコロ」という擬音が聴こえてきそうな超スローのゴロなのに、GKは振り返ることができず、DFも間に合わない。ボールは冗談のようにゴールマウスへと転がった。
「決めたらめちゃくちゃオイシイな、と思っていました。決めたあとのことだけ? 考えていました。(FWが)競り勝つと思っていたので、信じて走るだけでした」(内山)

 爆発的な歓喜のあと、2分のロスタイム。CERVEZAは猛然と反撃するが、ミドルシュートの狙いは予期されて防がれる。この圧力をしのぎきったベイが1-0でCERVEZAを下し、決勝進出を決めた。
 敗れはしたが、CERVEZAにとっては1部でやれる手応えをつかんだ一戦だったのではないだろうか。
 ベイは3月14日、2次戦進出をかけ、駒沢陸上競技場で東京消防庁と対戦する。

◆CERVEZA FC東京・田中剛監督の談話

──ゲームプランは。

「ことし1部に復帰してはじめての年。ベイさんはリーグ戦が始まってすぐに当たるし、最近力をつけているチームなので、力試しのつもりで試合に臨みました。
 90分なり70分をどう集中してマネージしていけるかが毎回テーマになります。ウチみたいに運動量の少ないチームは押し込まれることが多いし、そういうときにバランスを崩さないで失点せずにいけるか。当然フィニッシュは、フォワードとかアタッカーには意識するように言っていたんですけど、思い通りにはいかなかったですね」

──ロングボールが多かったのはクレーコートのコンディションを考えてのことですか?

「そうですね。きょうは足下が悪く、回してもしょうがないので、スペースにロングボールという指示をしました。あとはセットとスローインが狙い目だったんですけど、うまくいきませんでしたね」

──守備がいいなと思ったんですけど。

「毎年なぜかディフェンスでいい選手が入ってくる。そういう個人の技術に助けられている部分もあります。サッカーの経験が長い選手たちなので、ディフェンスという“受ける”プレーは上手にできますね。守備をしっかり、失点をできるだけ少なくするというのは、いつもテーマに掲げています」

──練習時間は平日にとれてますか。

「ないです、ないです(苦笑)。ウチは完璧にサラリーマンチームなので、木曜に練習を入れてはいるんですけど、7〜8人、よくて12〜13人が来ればいいほうです。あとはこの日曜日だけ。公式戦がないときは練習試合を入れていますけど。週末は必ずやっているので、年間50週は活動しています」

──今シーズンにかける意気込みを。

「とにかく、チームとしてはベスト4。今年、関東大会には4チームが出られるという話なので、ちょっとおこがましいですけれども、目標としてはそこを。スタッフとしては、1部にかぎらず2部もそうですけれども、レベルがどんどん上がっているので、しっかり1部のグレードで全試合を戦えて、それなりのポジションで終えて降格はしない、そこがいちばん大事かなと思っています。いい選手はいるので、できれば組織的な戦術やフィジカルのレベルを上げてひと皮剥けたいと思っています」

──東京23も力を入れていますし、都リーグ1部、2部は大変なことになっていますね。

「なによりも、都リーグの1部や2部の上のほうは、こういうクラブチーム(CERVEZAのような)は少なくて、ベイさんもそうだけどすごく運営のしっかりしているチームが多い。ぼくらと世界がちがうんですけど(笑)、なんというんだろうな、東京都社会人リーグ、と“社会人”の名がついているリーグだけに、ぼくらも社会人ですから、その中では存在感のあるチームにしていきたいと思っています」

 社会人には社会人なりに、戦うべき場と理由がある。そのことをあらためて認識させられた、激しく厳しい一戦だった。


(文・後藤勝)

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2009年02月23日

034【東京カップ】「出港、即座礁(byTBFCオーナー)」(東京カップEブロック準々決勝/2月22日/鶴牧SC vs. 東京ベイFC/旧秋川高校)

 次はフエンテ、決勝で早稲田ユナイテッドだろう──。そんな皮算用が東京ベイFC「クルー(スタッフにしてファン。クラブと運命を共にする者)」たちの脳裏に渦巻いていた。甘かった。フエンテですら、10人になった相手に3点差を追いついた末のPK戦による辛勝である。カップ戦は、サッカーは、そんなに甘いもんじゃない。
 今シーズンの大事な緒戦。しかしシードの東京ベイFCにとっては緒戦でも、鶴牧SCにとってはそうではない。彼らは11日前に同じ旧秋川高校のグラウンドで東京カップEブロックの二回戦をこなしている。それに鶴牧SCは2部の、そして多摩の強豪である。カテゴリーはひとつ下でも、決して弱者ではない。
 ひとことでいえば油断があった。

 前半の鶴牧SCはひどい出来だった。パスはつながらずラインをわり、競り負ける。ディフェンスがあたふたする。ぬかるんだピッチを計算に入れて球離れを早くした東京ベイFCはロングボールでペースをつかむ。12分と18分にゴールを決めて早々と2-0でリード。さすがにそれまで慎重だった鶴牧SCも攻めに転じ、幾度となく決定機を作るがゴールを割れず。
 試合はメンバー交代のないまま後半へ。大会規定で35分ハーフということもあってか、ハーフタイムも若干駆け足だった。20分間はクロスとセットプレーで東京ベイFCに決定機が多かったが、23分、鶴牧SCが左サイドから攻め、つまり東京ベイFCの右サイドを攻略して1点を返す。ここからは鶴牧が押せ押せだった。27分に元佐川急便東京SCの尾林陽介が途中交替で出場。中盤のセンターで、やはり元佐川東京の戸田有悟とコンビを組んだ。しかし右サイドの決壊現象は解消されなかった。それまで中盤のセンターにいた沖本惇壮が右サイドへ。サイドバック鈴木洵也と右の布陣を形成したが、結局このポジションチェンジだけでは鶴牧SCの勢いを受け止め切れなかったことになるのだろう。
 28分に鶴牧SCが再び左サイドからのゴールで追いつき、ペースを握ったままタイムアップ。余裕綽々の鶴牧SCは一度もPKを外さず、逆に顔色を失った東京ベイFCはふたりが外し、勝負は決した。
 元年代別日本代表、Jリーガー、JFLプレーヤーを抱え、関東リーグ昇格を狙う。そんな名の知れたチームが、東京カップの緒戦で敗れた。天皇杯と同時に全社への道も断たれた。赤っ恥もいいところである。

 しかしこれがサッカーだ。ぬかるんだピッチ、不安定なジャッジ。その条件は相手にとっても同じことだ。でも気にしすぎたのはどちらだったか。
 35分ハーフ。後半20分まで2-0でリードしていたら、ゲームを閉じにかかるのはまっとうな判断だ。だが閉じきれず、カップ戦で格上と戦う機会を失った。リーグ戦までの期間をどう過ごすのか。実戦経験は確実に少なくなる。
「出港、即座礁」
 敗戦後、クルーのひとり、通称「オーナー」が呟いた。座礁した船を、なんとかして沖合いに出さなくてはならない。クラブ史上初の挫折。損失はちいさくない。

 プライドを取り戻すには、リーグ戦で結果を残すしかない。

(文・後藤勝)
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2008年11月07日

028【天皇杯4回戦】「格上相手だから出来ること」(第88回天皇杯全日本サッカー選手権大会4回戦/11月2日/ジュビロ磐田 vs. 栃木SC/ヤマハスタジアム)

 天皇杯も4回戦まで進むとJ1チームが登場する。ここからはJチームが主役となり、元旦国立を目指す争いが本格的にスタートすることとなる。
 「本当の日本一決定戦」と大会公式パンフレッドに書かれている天皇杯全日本サッカー選手権大会だが、熾烈な優勝争い・残留争いをしているJのチームにとっては元旦国立よりも目の前のリーグ戦の勝利が重要だ。そのため、格下が相手となる4回戦では一部J1チームはJリーグの試合とはメンバーを入れ替えて天皇杯へ臨むことがある。
 先日行われた天皇杯4回戦ではジェフユナイトッド千葉と大分トリニータがリーグ戦とメンバーを入れ替えて試合に臨み、犬飼日本サッカー協会会長より苦言を呈されたという報道もある。だが、メンバーを入れ替えたのは千葉・大分だけではない。

 11月2日に行われたJ1所属のジュビロ磐田とJFL所属の栃木SCの試合でジュビロ磐田は直前のJ1リーグからスターティングメンバーを実に10名入れ替えて試合に臨んだ。チームはJ1残留争いの最中にあり、主力を温存したと言われても否定できないだろう。
 一方、格下の栃木SCは当日考えうる最強のメンバーで試合に臨んだ。

 主力を温存することは観客と大会の格に対して失礼だ。という意見もあるが、格下のチームからすればチャンスが増えることを意味する。JFLで調子の上がらない栃木SCにとってはチームが自信を取り戻す絶好の機会ともなる可能性がある一戦だ。


 J1で30節が終了時点で17位と自動降格圏内にいるジュビロ磐田にとって、最優先課題はもちろんJ1での残留。主力を温存しスターティングメンバーを大幅に入れ替えたものの3-5-2と、固定化されたフォーメーションをとった。
 一方の栃木SCは3日前に行われたガイナーレ鳥取戦と同じく、1トップの下に2人の選手を並べる1トップ2シャドーの3-6-1で試合に臨んだ。

 試合は前半、前線と守備陣とが間延びして中盤のプレッシャーをかけられないジュビロ磐田に対し、栃木SCは中盤で自由にパスを回してボールを支配。しかし、ボールは支配するもののジュビロ磐田の3バックを崩すことが出来ず、バイタルエリアの前でボールを動かし続けることは出来るもののゴール前で決定的な攻撃を見せることは出来ない。
 逆にボールは支配されるものの個々人の能力に勝るジュビロ磐田は固い守備からボールを奪い、前線の2トップ、中山雅史、カレン ロバートの個人技を中心に反撃を試みる。
 すると前半43分、ジュビロ磐田はFKからボランチ河村崇大がフリーで抜け出しヘディングでゴール。ワンチャンスをゴールに結びつける個人の強さを見せ、前半はジュビロ磐田の1点リードで折り返した。

 後半、先制したジュビロ磐田は前半よりも積極的な動きを見せ始め、中盤でのプレスを強めて試合の主導権を握る。劣勢に立たされた栃木SCだが、攻勢に出てDFラインを上げて来たジュビロ磐田の裏を突くことに成功。後半21分にDF山崎透がインターセプトから1トップ松田正俊とのワンツーからDFラインを抜け出した佐藤悠介へパス。佐藤はドリブルでジュビロ磐田守備陣を抜け出して冷静にゴールへ流し込み、同点に追いついた。
 劣勢の中での同点に沸き立つ栃木SCゴール裏と選手は逆転へ向けて士気を高めたが、その僅か3分後にカウンターから中山が体勢を崩しながらもゴール。更に後半27分にもカウンターから途中交代、太田吉彰にゴールを決められて試合終了。
 終わってみれば3-1でジュビロ磐田がJ1チームの貫禄を見せた結果となった。


 木曜日にガイナーレ鳥取との準加盟同士の負けられない試合を行い、中2日で試合を行った栃木SCのコンディションが万全でなかったことは確かだ。
 チーム全体として見れば、特に前半はジュビロ磐田には集中力に欠けるプレーも見受けられ、栃木SCの方が気持ちの入った試合展開を見せた。栃木SCのコンディション面が良ければ、前半はあるいは?という場面もあった。また、8日間で3試合をフル出場した3バックが試合後半に足が止まらなければ、結果は違ったものとなったかもしれない。
 だが、それとは別にここぞの勝負強さではジュビロ磐田が一枚上手であった。決定的な仕事をいかに正確にこなせるのかという選手個々人の能力は、コンディション以上の差があった。

 ここ数試合栃木SCの課題はゴール前での勝負強さだ。JFLでも中盤ではボールを保持できるものの、ペナルティーエリア内で勝負する動きは少ない。この試合の前半でも同じことが見えた。
 後半の得点シーンは相手のDFラインが上がった状態でのカウンターからの得点であり、ボールを保持して相手を崩した形ではなかった。

 JFLでの栃木SCは警戒される存在であり、相手は引いて守ることが多くカウンターから得点を奪うことは難しい。天皇杯4回戦のように、格上でも前へ出てくる相手に対しては得点を奪う力はあるだけに、いかに引いた相手からゴールを奪うのか?そこに栃木SCの課題が存在する。

(文・北沢耕一)

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栃木SCと苦楽を共にしてきたサポーターにとって、J1チームとの対戦は大きな意味を持つ。(写真・北沢耕一)
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2008年10月13日

021【天皇杯3回戦】「ここから全国へ」(第88回天皇杯全日本サッカー選手権大会3回戦/10月12日/湘南ベルマーレ vs. 松本山雅FC/平塚競技場)

 天皇杯はJチームの最大の魅力はジャイアントキリングだと言われる。昨季はHonda FCが準々決勝でJ1王者鹿島アントラーズと延長戦までもつれ込む好ゲームをした。今季の天皇杯ではどのクラブがジャイアントキリングを見せるのか?10月12日に行われた3回戦の注目点の一つはそこにあった。

 松本山雅FCは北信越リーグ1部に所属するチーム。2001年、長野県松本市に建設された松本平広域公園総合球技場(通称、アルウィン)をホームスタジアムとし、Jを目指すチームだ。昨季リーグで優勝し地域リーグ決勝大会へ駒を進めたものの、予選リーグで敗退。今季は監督にHonda FC、FC琉球で指揮をとってきた吉澤英生を向かえて新たなスタートを切った。しかし、リーグ序盤からチームは一つになれず4位でリーグ戦を終了。
 北信越リーグ代表として地域リーグ決勝大会へ駒を進めることは出来なかったが、チームは後の無くなった夏以降調子を上げてきており、天皇杯県代表を勝ち取った。来週に控えた全国社会人サッカー選手権での地域リーグ決勝出場権獲得へ向けて良い流れを引き込むためにも、J2チーム相手に自分達の力を出し切りたい。

 一方、北信越1部という4部カテゴリーのチームを迎え撃つのは湘南ベルマーレ。長らく低迷が続いていたが、今季のJ2では第39節終了時点で3位と、J1昇格を射程に捉えている。昨季と違い、リーグ戦から1週間の間がある今季の天皇杯。J2はリーグ戦に臨むのと同じコンディション作りをしていけるだけに、北信越1部4位チームを相手にしっかりと勝利し、J1チームとの対戦権を獲得したいところだ。

 当日、午前中に別競技で使用されていたためにナイター開催となった平塚競技場。会場は前売り自由席券が完売と、盛況。メインスタンドのみの開放としていたために座席数が限られていたということもあるが、この完売にはアウェイとなる松本山雅サポーターが大挙押し寄せたという事情もある。
 J2チーム相手との真剣勝負に、地域リーグでは全国でも1、2を争う熱さを持った松本山雅サポーターのテンションも高い。


 試合は序盤、山内宏志主審のナーバスな判定から始まった。前半5分に早くも松本山雅DF三本菅崇がイエローを受ける。その後も選手が倒れる度に鳴らされる笛は、荒れた試合を予感させるものだった。
 ファーストシュートは松本山雅。昨季まで湘南ベルマーレへ在籍していたFW柿本倫明の無理な体勢からのシュートはゴールマウスを大きく外れたが、この試合に賭けるチームの意気を感じさせた。
 チャレンジャーとして気持ちの入ったプレーをする松本山雅だが、全体のテクニックやプレースピードは湘南ベルマーレが上。前半15分を過ぎた頃から松本山雅は湘南ベルマーレの想定内のプレーしか出来ず、攻撃は守備の網にかかり逆襲を喰らうシーンが増えてくる。
 前半23分には左サイドを突破した湘南ベルマーレMF加藤望からのクロスを前線まで上がっていたセンターバックのジャーンが繋ぎ、最後はFW原竜太が頭で押し込んで湘南ベルマーレが先制。

 先制されて厳しくなった松本山雅だが、後が無くなったところから本領を発揮。もともと元Jリーガーを多く揃え、選手個々人のポテンシャルは一定以上の水準にある松本山雅。2人の相手に囲まれた局面でパスを選択することなく勝負に出るようになるとそのポテンシャルが発揮させ始める。
 前半25分に個人の力で粘り強く左サイドを突破しクロスを上げるシーンを作ると前半26分、左サイドバックの阿部啄久哉が2人の相手の間を抜いて左サイドを突破しクロス。このボールを柿本が決め、松本山雅が同点に追いつく。

 組織力とゲーム勘に優れる湘南ベルマーレに対し、松本山雅の武器は勝利へ向かう気持ちと粘り強い個人のがんばり。人数をかけてきれいに得点した湘南ベルマーレの得点と個人のがんばりから得点した松本山雅。得点シーン一つとっても対照的な両チームだ。この松本山雅のがんばりが試合に反映されるようになった要因の一つに山内主審の笛がる。
 前半15分頃までナーバスとも言えるほど細かく笛を吹いていた山内主審だが、その後は接触プレーを流す傾向をしめし始めた。接触プレーを厭わずに粘り強くプレーする松本山雅にとって、この笛は悪意のあるプレーさえしなければ思い切ってプレー出来るという安心に繋がったことだろう。

 失点後も組織的にゴールを狙う湘南ベルマーレが試合の主導権を握り、粘り強くプレーする松本山雅が守備からの思い切りよい攻撃で反撃するという展開のまま、1-1で試合は推移。
 多くのチャンスを作りながらも決定機を決めきれない湘南ベルマーレはゴールが遠く、1-1のまま90分間は終了し、15分ハーフの延長戦へ突入。

 延長戦開始前、「夜9時以降の鳴り物は禁止されておりますのでご協力お願い致します。」という場内放送が流される平塚競技場。ドラムを中心に応援を繰り広げる松本山雅サポーターは手拍子を中心とした応援へ切り替えてチームの後押しを続行。一方の湘南ベルマーレサポーターは手拍子を中心としているだけに、それまで同様の応援を続けた。

 その後、試合は延長戦でも決着はつかずPK戦へ。お互いに6名ずつ蹴り合ったPK戦では松本山雅GK原裕晃が2本のキックを止めて松本山雅が勝利。
 攻められる場面が多い中でも120分間最後まで走りきった選手と、応援を絶やすことのなかった松本山雅サポーターはそれぞれの場所で歓喜を爆発させた。


 この試合は北信越1部チームがJ2チームに勝ったジャイアントキリングである以上に、盛り上がった。最後まで足を止めなかった両チーム選手の頑張り。選手と共に闘ったサポーター、そして序盤に厳しい判定を示しつつゲームをコントロールした山内主審。競技場に駆けつけた全員が作り出した雰囲気が試合を盛り上げたと言える。
 勝者の歓喜も敗者の落胆も審判団の冷静さも、全てがあっての天皇杯Match No.39湘南ベルマーレ vs. 松本山雅FCだった。


 敗れた湘南ベルマーレは気持ちを切り替え、J1昇格へ向けたリーグ終盤戦へ向かうことになる。
 一方、勝った松本山雅はいよいよ10月18日よりJFL昇格への長い戦いが始まる。全国社会人サッカー選手権、地域リーグ決勝大会の最大11試合の負けられない試合に向けて、この日の勝利はチーム・サポーター双方に大きな力を与えただろう。
 地域リーグで1、2を争うサポーターと共に、全国へ名乗りを上げた松本山雅の正念場は、これからが本番だ。

(文・北沢耕一)

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チームと共に全国の舞台で名乗りを上げた松本山雅サポーター。彼らが目指す本当の歓喜は、まだ先にある。(写真・北沢耕一)
posted by 3rdFlightFootball at 15:08 | TrackBack(0) | 天皇杯 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月22日

010【天皇杯】「大人のサッカーと若者のサッカー」(第88回天皇杯全日本サッカー選手権大会2回戦/9月20日/流通経済大学 vs. ソニー仙台FC/笠松運動公園陸上競技場)

 今回の天皇杯1〜3回戦用パンフレッドにはHonda FCと明治大学、2つのチームの特集記事が掲載されている。Honda FCはアマチュアチームとして、明治大学は大学チームとして、共に前回の天皇杯で活躍したチームだ。
 アマチュアチームとしてベスト8でJ1王者鹿島アントラーズと延長戦まで戦ったHonda FCが他のアマチュアチームに与えた影響は大きい。ソニー仙台FC、佐川印刷SC、TDK SC etc・・・多くのアマチュアチームが「目標はHonda FC」と口にし、Honda FC越えを目指してクラブ体質からの改善を模索している。
 また、明治大学は近年、有望高卒選手が多く流入する大学サッカー界の先駆けとして、昨年の天皇杯ベスト16で清水エスパルスとPK戦へもつれ込む接戦をした。明治大学に劣らない実力を持つと自負する他の大学チームにとって、自身の実力を示すには明治大学の成績は越えなければならない課題だ。

 Honda FCと明治大学。前回天皇杯で注目を集めた両チームを越えることを目標とする2つのチームが、2回戦で対戦した。


 ソニー仙台FCは今季からクラブの指揮を執る実行委員の佐藤弘幸の下、3年後にアマチュア王者となることを目指して3ヵ年計画のチーム改革に着手した。大卒の有望新人選手を中心にベテランやJからの助っ人まで総勢10名の新入団選手を向かえメンバーを一新。監督には「ソニー仙台FCの魂」とも言えるチームのOB、田端秀規を迎えてHonda FC越えを目指す。
 一方の流通経済大学は大学サッカー界では新興勢力だが、中野雄二総監督を中心として急速にその力を伸ばしている。200名を超える部員が日々切磋琢磨し、1年生から4年生までJクラブが注目する有望選手は数多い。特に今年の選手層は厚く、流通経済大学史上最強の呼び声も高い。中野総監督の「本気でベスト8を目指す」という発言で注目を集めているが、その言葉も決して虚勢に聞こえないだけの潜在能力がある。

 共にJFLに所属する両チームがJ2セレッソ大阪との挑戦権を賭け、笠松運動公園陸上競技場で戦った。


 関東へ接近した台風13号の影響も心配された1戦だったが、台風一過の晴天の中でのキックオフとなった。この日の笠松陸上は芝の状態が悪く、ところどころ芝が剥げているデコボコのピッチコンディション。加えて前夜の雨で芝が浮き、軸足の踏ん張りが利きづらい中での試合となった。

 試合は序盤、負傷者が続出し選手起用に苦しむ流通経済大学が攻勢に出る。前半14分にフリーキックからFW武藤雄樹がヘディングで合わせてゴールを割るも、オフサイドの判定。
 微妙な判定に救われたソニー仙台FCは直後から反撃を開始。高く設定されたDFラインからのロングパスを多用し、前線の経験豊富な高野和隆、本多進司の2トップでゴールを目指す。すると前半15分、ソニー仙台FCが立て続けに決定機を作ると前半18分、左サイドを抜け出した本多のクロスを走りこんだ高野がゴール。シンプルな攻撃から鋭く先制点を奪う。
 先制された流通経済大学は荒れたピッチコンディションに戸惑い、いつものパスサッカーが陰を潜める。だが前半30分頃からソニー仙台FCのDFラインが下がり始めると中盤でボールを持てるようになり、ボランチのMF千明聖典からの配球でペースを掴み始める。しかし、ここで流通経済大学にアクシデント発生。MF宇賀神潤が頭部を負傷しタッチライン外で治療を受けるとその間、いいリズムの中で1人少なくなった流通経済大学が攻撃の手を緩める。
 これでソニー仙台FCは息を吹き返し、0−1で前半終了。

 ハーフタイム後、ピッチへ姿を現した流通経済大学イレブンに対してスタンドで応援に回るチームメイトから激が飛ぶ。激の中心にいたのは天皇杯でメンバー入りを果せなかった4年生。試合に出られない選手の気持ちが、トップチームとして天皇杯へ出場する選手の背中を押す。
 それまでの4−4−2を3−5−2として、中盤を厚くした流通経済大学が後半開始から攻勢をかける。だが、前目にかかってきた相手の裏を突くように後半1分にソニー仙台FC本多がカウンターから追加点を上げる。
 早々に出足を挫かれた流通経済大学はその後積極性を失い、後半16分に宇賀神が個人技で1点返すも主導権を握れず。さらに選手は審判の判定にナーバスになっていき、チームのいきは上がらない。

 劣勢に立たされた流通経済大学に渇を入れたのは1年生のGK増田卓也。後半35分過ぎにソニー仙台FCのFW大久保剛志と接触し、あごを切る負傷を負う。ドクターが呼ばれる事態となったが、増田はその後試合に復帰。1年生の頑張りに、スタンドの声援が大きくなる。
 残り10分を切り、1点のリードを守って逃げ切りを図るソニー仙台FCに対して流通経済大学が反撃を開始。6分間のロスタイムが掲示された直後、FW船山貴之が同点弾を叩き込み土壇場で試合を振り出しへ戻して90分間を終了。15分ハーフの延長戦へと突入する。


 延長前半が始まると、それまでの守備重視から一変してしっかりした守備から得点を狙うソニー仙台FC。1点を守りに入った中でのロスタイムの失点に崩れるチームも多い中、ソニー仙台FCはきっちりと気持ちを切り替えて延長戦へと臨んだ。
 気持ちの切り替えを上手く行ったソニー仙台FCは延長前半13分、フリーキックで相手の意表を突くショートパス。そこからのクロスをMF麻生耕平が決め、2−3と再びリードを奪う。
 その後、時間を使い切ったソニー仙台FCが流通経済大学に攻撃を寄せ付けず、2−3で勝利。Honda FC越えを目指し、まずはJ2チームとの挑戦権を得た。


 試合は荒れたピッチコンディションを見極め、しっかりとした守備からのシンプルな攻撃を徹底したソニー仙台FCが、時間の使い方も含めたチーム一丸の意思統一で勝利。逆に流通経済大学はパフォーマンスが一定せず、ピッチコンディションが悪い中でDFラインからパスを繋いでいくサッカーに固執して勝利を遠のかせた。

 勢いに乗らせると怖い大学生を相手に、状況に合わせて大人のサッカーをしたソニー仙台FC。U-17代表経験を持つ大卒新人に目が行きがちだが、2トップの高野、本多やボランチの千葉雅人、センターバックの谷池洋平などのベテランが要所を締めてゲームをコントロール。
 3ヵ年計画初年度の今季は「チームの基礎固めのシーズン」だが、選手・ファンからの人望も厚い田端監督の下、今後の躍進に期待が持てる。

 一方の流通経済大学は若さが裏目に出た。怪我人が多く苦しいチーム事情だが、今週水曜日には関東大学リーグ1部を戦う。天皇杯2回戦で敗退し、その後の関東大学リーグでも失速した昨季の二の舞は避けたいだけに、気持ちの切り替えが急務となる。
 天皇杯ベスト8という目標は果せなかったが、ここで立ち止まる訳にはいかない。

(文・北沢耕一)

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試合後、ソニー仙台FC田端監督はハイタッチで選手を迎える。その姿からは、チームの天皇杯への意気込みが伝わる。(写真・北沢耕一)
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2008年09月17日

008【天皇杯】「変わらないこと。変わったこと。」(第88回天皇杯全日本サッカー選手権大会/9月14日/福島ユナイテッドFC vs. 国士舘大学/Jヴィレッジスタジアム)

 私は昨年の天皇杯1回戦をJヴィレッジで観戦した。その時の試合は「ビアンコーネ福島 vs. V・ファーレン長崎」の1戦だった。あらから1年が経ち、私はまたJヴィレッジへと向かった。今回の試合は「福島ユナイテッドFC vs. 国士舘大学」

 天皇杯の都道府県代表で常連と呼べるほどの出場数を誇るチームは各都道府県の顔と目され、そのチームの実力が都道府県の実力と対比される。
 福島県の場合、顔となるチームが定まらない。ここ10年間を見るだけでも『 FCプリメーロ → FCプリメーロ → FCプリメーロ → 福島大学 → ノーザンピークス郡山 → 湯本高校 → FCプリメーロ → FCプリメーロ → ビアンコーネ福島 → 福島ユナイテッドFC 』と5チーム(※ビアンコーネ福島はノーザンピークス郡山からの名称変更で同一チーム)が代表になる群雄割拠の様相を呈している。
 だが、過去において顔となるチームが無かった訳ではない。以前は旧JFLに所属し、Jを目指していた福島FCが県の顔と言えた。しかし、福島FCは1997年12月に解散。福島FCの流れを汲むFCプリメーロが一時期の勢いを失っている今、県の顔と言えるようなクラブは存在していない。
 その空白を突くように大学や2種のチームが県代表となり、ここ2年間はJを目指すことを表明した社会人チームが県代表として天皇杯へ出場している。

 昨年、県代表となったビアンコーネ福島と今年の県代表の福島ユナイテッドFCは共にJを目指すチームであり、大会出場時に東北2部南に所属しているなど、良く似た外見を持つクラブである。
 天皇杯のスタンドにおいてもっとも目立つ類似点は、スクール生の動員だ。昨年のビアンコーネ福島は応援ツアーを組み、傘下のサッカースクールの子どもとその保護者が多数応援に駆けつけ声援を送っていた。福島ユナイテッドFCも同じく応援ツアーを組み、サッカースクールの子どもが多数訪れていた。クラブこそ違えども、その光景は同じものだった。

 福島県代表として天皇杯へ出場した両チーム。昨年のビアンコーネ福島は同じくJを目指すV・ファーレン長崎を相手に0−1と敗戦した。今年の福島ユナイテッドFCは東京都予選で関東1部優勝のFC町田ゼルビア、現時点でJFL4位の横河武蔵野FCを相次いで破った国士舘大学と戦う。福島ユナイテッドFCは「Jを目指す」という看板に応えられる活躍を見せられるのか?


 試合は前半、持ち前のテクニックでボールを保持する国士舘大学に対し、福島ユナイテッドFCはプレーイングマネージャーのDF時崎悠(元水戸)を中心としたタフな守備でゴールを割らせず、0−0で折り返し。
 後半早々、福島ユナイテッドFCが積極的に前へ出るが、国士舘大学は冷静に大人な対処をして隙を窺う。すると後半12分、国士舘大学は右サイドからのクロスを10番武岡が落とし、走りこんだ8番柏が先制。更にピッチを広く使う国士舘大学は後半19分、26分と続けざまに武岡が追加点を奪うと、後半28分にはPKを得る。これは外したものの、0−3として試合を優位に進める国士舘大学。
 その後、余裕からかペースを落とした相手に対し、福島ユナイテッドFCは後半32分にFKから時崎悠が1点を返す。しかし、後半39分に国士舘大学の武岡がハットトリックとなる3点目を決め、1−4で国士舘大学が勝利。
 若い選手達の巧さが噛み合った国士舘大学に対し、多くの元Jリーガーを擁している福島ユナイテッドFCはプレーの荒さばかりが目に付いた。
 試合は「Jを目指すチームと大学チームの対戦」とはならず、「福島県代表と東京都代表による対戦」であり、地域間の実力差がそのまま表れた内容だった。

 「Jを目指す」という言葉を発しチーム強化を図る。福島ユナイテッドFCとビアンコーネ福島は同じ方法をとり、県代表としてJヴィレッジへ駒を進めた。そして、共に1回戦で姿を消した。ビアンコーネ福島は昨年末、早急なJ入りを目指すという看板を下ろした。無理な強化がたたった末に資金繰りが悪化したとも言われる。
 同じようにJを目指してチーム強化に力を入れる福島ユナイテッドFCは、来季の東北1部昇格が確実視されている。しかし、レベル的に全国と差があるのは確かだ。チームが福島の顔としてJを目指すには、超えなければならない問題は多い。


 県代表は同じように1回戦で姿を消したが、Jヴィレッジには昨年と違う新たな試みがあった。それはハーフタイムに行われたフラダンスショー。隣のいわき市の新たな目玉を取り入れ、観客を楽しませた。
 地元学生によるもぎり。飲食売店が無く、すぐに売り切れとなる最寄の自動販売機。会場運営面は相変わらずだったが、昨年と今年は同じ年ではない。

(文・北沢耕一)

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映画にもなった「フラガール」によるフラダンスショーは、地元ならではの面白い試みだ。(写真・北沢耕一)
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