2008年11月06日

027【JFL】「引っ張れ引っ張れ」(2008JFL後期13節/11月1日/横河武蔵野FC vs. 三菱水島FC/武蔵野市立武蔵野陸上競技場)

 今年のJ1リーグは面白い。上位も下位も勝点差が拮抗しており、4節を残してどのチームが優勝するのか?また降格するのか?予断を許さない。それと同じように、JFLの上位争いも目が離せない。
 Honda FCが頭一つ抜け出し優勝へ向けて足元を固めているが、準加盟チームによる4位以内を目指す戦いはこれからが本番となる。優勝チームが決まり、そこで一区切りつくのではないというのはJFLの新たな魅力と言える。

 今季は「4位以内」という準加盟チームのJ参入への成績面での条件確定したJFLだが、昨季より降格制度も固定化された。リーグ開催要項にある『JFL17位、18位のチームは所在地に属する地域リーグ(地域最上位リーグ)に自動降格し、全国地域リーグ決勝大会1位、2位チームがJFLに自動昇格する。また、JFLの16位チームは全国地域リーグ決勝大会3位チームと入替戦を実施し、その勝利チームがJFLとなり敗者チームが所在地に属する地域リーグ(地域最上位リーグ)となる。』というのがそれだ。
 平たく言えば18チーム中の下位2チームが自動降格。16位のチームについては地域決勝3位チームとの入替戦を行うというものだ。
 しかし、ここには準加盟チームの動向が関わってくるから複雑になる。

 JFLからJへ参入するチームが“0”の場合、要項どおりの「自動降格2チーム+入替戦1チーム」となるが、J参入チームが“1”の場合は「自動降格1チーム+入替戦1チーム」、J参入チームが“2”の場合は「最下位のみ入替戦」となり、J参入チームが“3以上”になると最下位でもJFL残留となる。
 つまり、JFLで下位のチームとしては準加盟チームにはなんとしても4位以内へ入って欲しいという状況が生まれる。

 JFLには「門番」と称されるJを目指さない強豪チームがある。その代表格はHonda FCだが、今季4位以内をキープし続けていた横河武蔵野FCも「門番」と言える存在だ。
 「門番」は準加盟チームにとって嫌な存在だが、それと同じ様に降格圏内にいる下位チームにとっても嫌な存在だ。11月1日の武蔵野陸上では、「門番」6位横河武蔵野FCと「崖っぷち」最下位三菱水島FCが激突した。


 今季はリーグ序盤より常に上位をキープし続けてる横河武蔵野FC。2003年にクラブチーム化したアマチュアチームで選手は働きながら夜に練習をしている。練習場は人工芝だがラグビートップリーグに所属する横河武蔵野アトラスターズや下部組織も練習で使用しており、全面を利用できるわけではない。
 そんなハンディを持ちながらも、前線からの全員守備でゴールを守り、手堅く勝点を積み上げて後期12節終了時点で6位。しかし、夏以降は調子を落としており、特に得点力不足は懸案事項となっている。

 一方、企業チームである三菱水島FCの選手はほぼ全員三菱自動車水島製作所に勤務しており、2交代制の工場勤務をこなしながら土のグラウンドで練習を行うというJFL屈指の厳しい環境でサッカーへの情熱を燃やしている。この試合でも岡山県からバスで10時間かけて移動しており、その環境に根を上げ辞めていく選手も多いという。そんな中でもJFLで戦うチームは、真の社会人チームと言える。
 だが、やはり環境面でのハンディは大きく、今季は29試合で3勝5分21敗の勝点14で最下位。

 共にサッカーに集中できる環境にいるとは言えないアマチュアチーム同士の対戦は前半、横河武蔵野FC優位の展開で進んだ。


 序盤からボールを支配した横河武蔵野FCだが、荒れたホームのピッチに足を取られて思うようにボールをコントロール出来ない。住宅街の中にあり、利用頻度の高い武蔵野陸上は秋になると芝がところどころ剥げてくることで知られており、「アウェイの洗礼」と言われることもある。
 10年前に比べれば良くなったとは言え、この試合ではボールを蹴るたびに砂が舞っていた。公式戦では7月19日以来となる武蔵野陸上のピッチに、両チームが苦しむこととなる。

 それでも地力に勝る横河武蔵野FCは前半40分、FW金子剛が一人で持ち込んでゴール。前半は横河武蔵野FCリードで折り返す。

 後半に入りなおも追加点を狙いたい横河武蔵野FCだったが、残留のために負けられない三菱水島FCが反撃。ボールを奪った後に全員で前へ出る姿勢で人数をかけて攻めると後半14分、右サイドバック三宅一徳のクロスをペナルティーエリア内でFW中川心平が落とし、走り込んで来たボランチ山下聡也が押さえの効いたボレーをゴールへ叩き込み、同点に追いついた。

 その後も守勢に立たされながらもGK永冨裕尚のファインセーブもありゴールを守りきった三菱水島FC。積極的な選手交代でゴールを目指すいつにもない積極的なベンチワークも見せ、隙を見ての反撃も折り混ぜながら1-1で試合は終了した。


 三菱水島FCは戦力的にも環境面でも劣ると言われながらも上位相手に好ゲームを見せた。1年間使われ続けたセンターバックの萩生田真也、坂口遥のコンビがここにきて落ち着きを出してきており、GK永冨も成長を見せているなど、試合の中で各選手のレベルアップが図られてきている。また、唐木航太や高卒2年目の田平謙が中盤の汗かき役となり、ボランチ山下の攻撃力が発揮させることに一役買っている。
 チームを取り巻く環境は厳しいが、「門番」横河武蔵野FCの足を引っ張りJFL残留へ向けて一歩前進。

 一方の横河武蔵野FCは17本と、三菱水島FCの6本に対して3倍近いシュートを放ちながらも1得点に留まり決定力不足を露呈させた。相手GKの好守はあったものの、課題を見せた試合だった。




 リーグ終盤に入ったJFLはHonda FCが王手をかけており、次節にも優勝の可能性がある。しかし、J参入を巡る攻防はここからが見どころ。中位がほぼ決定しているチームでも、準加盟チームとの対戦では選手の目の色が変わる。プレッシャーのかかる準加盟チームにとって、なくすものが無いアマチュアチームの勢いは脅威となるだろう。


 とは言え、リーグ終盤は毎年各チームの選手が来季を見据えてナーバスになる季節でもあり、それは試合のパフォーマンスへも影響を見せている。また、各チームも来季を向けての動きを始めており、横河武蔵野FC・ニューウェーブ北九州・SAGAWA SHIGA FC・MIOびわこ草津の各チームではセレクションの募集も始まっている。

 リーグ終盤の順位争いと来季への展望と不安が入り混ぜとなった狂騒状態も、残すところ4節となった。

(文・北沢耕一)
posted by 3rdFlightFootball at 12:38 | TrackBack(0) | JFL | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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