2008年09月10日

004【東京都1部】「東京ベイFC 酒と泪とフットボールと女」(第42回東京都社会人サッカーリーグ1部第12節順延分/9月7日/東京ベイFC vs. FC新宿/東京朝鮮高校)

 17時ごろ、東京・世田谷は激しい雷雨に見舞われた。家族が携帯サイトで見せてくれた都内の天気図では、板橋のあたりは、まだ雨が穏やからしい。

 はたして試合はおこなわれるのか。ホームチームである東京ベイFCの「クルー」(中央に大きな帆船を配したデザインのロゴにちなんで、このクラブのスタッフ兼サポーターは自分たちをこう称している)は「マネージャーズミーティングでの審判の判断次第ですが、やるんじゃないですかねぇ。雨より雷で中止になるかもしれません」との答えが返ってきた。
 キックオフは19時。30分ほど待ったが雨がやむ気配はなく、観念して自宅を出た。

 途中、埼京線がポイント故障で停まるというアクシデントに見舞われながらも、無事、十条駅に到着。てくてくと歩き、K病院の角を曲がって試合会場である東京朝鮮高校へと足を踏み入れた。
 すると、なにやらカンバンのようなものがかかっている。ハングルは読めないが、建国60周年を記念した催しが行われていたようだ。
「ここでイベントがあるときって、成績がよくないんですよね……」
 東京ベイFCのクルーがひとり、雨に濡れる極彩色の国旗を見やりながら、ぼそりと呟いた。なんらかのジンクスであろう。

 大雨の中、選手、クルー、審判、ライター(?)総出で設営にとりかかる。これが建国60周年の威光か、いつもは問題なく設えられるはずのコーナーフラッグがまるで刺さらない。雨にもかかわらず、やる気満々の審判&クルーが懸命にこねくり回し、ようやく格好がついた。すばらしき共同作業。
 さて、試合はどうなったかというと……。

・ボールを持つのではなく、序盤は引いてカウンターを狙う
・シュート、ドリブル突破で攻めきって、攻撃を終える
・4バックは守備に専念する

 以上がこの日、東京ベイFCが強敵・FC新宿相手に立てた主なゲームプランだったが、前半32分と34分の出来事でそのプランが水泡に帰してしまう。

 FC新宿の立ち上がりの猛攻をしのぎきり、東京ベイが攻勢に転じた矢先、コーナーキックから、上体を寝かせた低いヘディングでFC新宿が先制。しかし、さらにその2分後の34分、FC新宿のDFがユニフォームを引っ張り、二枚目のイエローカードをもらって退場してしまう。だが、これで逆にやることがはっきりしたFC新宿は、お家芸であるつないで中央を突破するサッカーを捨て、自陣へと引いてカウンター狙いに徹する。元ユース代表の黄金世代・田中洋明を中心に反攻する東京ベイFCだったが、爆発的なスピードを持ち、シュート意欲の高いFC新宿攻撃陣のカウンターに翻弄され、後半に追加点を許して万事休す。

 型にはまったサッカースタイルではなく、相手や時間帯ごとに柔軟に戦い方を変え、90分を通したゲームコントロールで勝利をめざすのがポリシーである東京ベイFCにとっては、まさにそれが災いしたとも言える敗戦。しかしそれは首位相手の東京海上日動戦でもあったこと。東京都1部のレベルはそれだけ高い、ということなのだろう。

 1部初挑戦の今シーズン、当初は残留が目標だった。現在の順位は6位。選手が一堂に会しての練習の機会になかなか恵まれず、週末の試合のみを通してスキルアップせざるをえない現状にしてはよくやったというべきか。この日も急な所要や病欠の選手が数名出て、ベンチ入りの人数は相手チームより格段に少なかった。
 以前は11人ギリギリ、それもよりによってFC町田ゼルビアとの一戦で、ゴールキーパーがFWを務めるスクランブルも経験した。

 まあ、それ自体は社会人サッカーではフツーのことなんですけどね。でも週に二回練習できるチームと戦うのはキツイよなぁ。JFL「以上」をめざすというこのチームが来季以降、どう体制を整えていくのかが見ものだ。

 試合後、クルー5人の「大反省会」に潜入取材と称してお邪魔したが、そこで交わされていたのは「酒と泪と男と女」ならぬ「酒と泪とフットボールと女(?)」なる会話だった。この袖をぬらすのは、雨か泪か……ずぶ濡れのまま敗戦に悔しがり、ときに馬鹿話に笑ったり、喜怒哀楽の激しい湾岸のアツきクルーたちは、次節の警視庁戦、そしてその先を見据えつつ、チューハイを傾けるのだった。詳しい話はまた今度。

(文・後藤勝)
posted by 3rdFlightFootball at 02:51 | TrackBack(0) | 都道府県リーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック
Copyright © 2008 3rd Flight Football Web.All rights reserved.
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。