2008年09月09日

002【JFL】「横河武蔵野FC ちいさな街の幸福」(2008JFL後期第9節/9月6日/横河武蔵野FC vs. Honda FC/西が丘サッカー場)

 001番の記事をエントリーしている北沢耕一がハーフタイムに、欧州人のフットボール・ファンと話をしたところ、件の蹴球狂に「前半15分まではHondaのゲーム。残り30分はレフリーの時間だったね」と、のたまわれたそうだ。
 横河武蔵野FCのプレスは前半が終わるまでもたなかったが、Hondaはじつに攻めづらそうだった。前線に収まりどころがなく、3本目、4本目のパスでミスが出てフィニッシュの形を作れない。イエローカードを連続してもらってはピンチを招き、0-0で前半を折り返した。

 後半19分、かつての10番である宇留野純(現ヴァンフォーレ甲府)も舌を巻く技巧派・吉村和紘が中盤の左ワイドで出場すると、Hondaが一気にペースを握った。投入直後に吉村が放ったスルーパスは鈴木弘大が決めそこなったが、その鈴木弘が44分、スローインからの流れでゴールを決めて勝負あり。公式記録では、武蔵野は後半にシュートを1本放ったことになっているが、1本も打っていないのではないかと思うほど、手も足も出なかった。

 石橋眞和監督いわく、昨季の天皇杯はプレスをかけてボールを奪うところから入ったが、今年は自分たちがボールを保持している状態からサッカーを始めたい……と、対J1仕様の内容を追求しているのが、現在のHondaというチーム。彼らに対して武蔵野の力が及ばなくとも悲観することはない。敗れてなお4位にいることは、毎年のように主力を失いながらも、武蔵野がしっかりと上積みをつづけてきた証だ。
 準加盟チームがJ2加盟条件のひとつである4位以内を狙ってしのぎを削るなか、純然たる企業チームのHondaと、非準加盟のクラブチームである武蔵野が、天王山を争ったのは興味深い。天皇杯本大会出場こそ逃したが、JFLを代表する勢力に食い込んできたことはまちがいない。

 佐川急便東京SCが大阪と合併して滋賀へと移転したことで、武蔵野は明確に東京第三のクラブとなった。この日の観客動員は「ゾロ目」の777人。これを多いと見るか少ないと見るか。
 日向のバックスタンドは観客がまばらだったが、日陰の涼しいメインスタンドはお客さんがギッシリ。抽象的な感想になってしまうが「賑わい」は確かにあった。

 J1では東京ヴェルディが、巨大な味の素スタジアムを持て余している。しかしJ2時代のヴェルディは西が丘に若く熱気に溢れたサポーターが詰めかけ、活況を呈していた。嫌味ではなく、西が丘がじつによく似合っていた。
 柏レイソルが日立台で充実した日々をおくっているように、ヴェルディもまた西が丘サイズの幸せを追求できるはず。それもひとつの道なのではないかと思うが、J1の規定はそれを許さない。

 いまを遡ること数年前、サッカー批評の取材ではじめて古矢武士代表にインタビューをしたとき「街の中心にサッカーを媒介としたコミュニティを作りたい」と言っていた。
 もしJ2加盟をめざすなら、巨大なスタジアムの確保が必至だ。しかしJFLならば、武蔵野陸上や西が丘にいながらにして、スモールパッケージ化された幸福を実現できるかもしれない。
 Jリーグだけがすべてではない。それを証明してから、武蔵野にはJに上がってほしいと思っている。

(文・後藤勝)

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電光掲示板前のゴール裏には武蔵野のファンが陣取る。(写真・後藤勝)
posted by 3rdFlightFootball at 20:42 | TrackBack(0) | JFL | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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