2009年02月23日

034【東京カップ】「出港、即座礁(byTBFCオーナー)」(東京カップEブロック準々決勝/2月22日/鶴牧SC vs. 東京ベイFC/旧秋川高校)

 次はフエンテ、決勝で早稲田ユナイテッドだろう──。そんな皮算用が東京ベイFC「クルー(スタッフにしてファン。クラブと運命を共にする者)」たちの脳裏に渦巻いていた。甘かった。フエンテですら、10人になった相手に3点差を追いついた末のPK戦による辛勝である。カップ戦は、サッカーは、そんなに甘いもんじゃない。
 今シーズンの大事な緒戦。しかしシードの東京ベイFCにとっては緒戦でも、鶴牧SCにとってはそうではない。彼らは11日前に同じ旧秋川高校のグラウンドで東京カップEブロックの二回戦をこなしている。それに鶴牧SCは2部の、そして多摩の強豪である。カテゴリーはひとつ下でも、決して弱者ではない。
 ひとことでいえば油断があった。

 前半の鶴牧SCはひどい出来だった。パスはつながらずラインをわり、競り負ける。ディフェンスがあたふたする。ぬかるんだピッチを計算に入れて球離れを早くした東京ベイFCはロングボールでペースをつかむ。12分と18分にゴールを決めて早々と2-0でリード。さすがにそれまで慎重だった鶴牧SCも攻めに転じ、幾度となく決定機を作るがゴールを割れず。
 試合はメンバー交代のないまま後半へ。大会規定で35分ハーフということもあってか、ハーフタイムも若干駆け足だった。20分間はクロスとセットプレーで東京ベイFCに決定機が多かったが、23分、鶴牧SCが左サイドから攻め、つまり東京ベイFCの右サイドを攻略して1点を返す。ここからは鶴牧が押せ押せだった。27分に元佐川急便東京SCの尾林陽介が途中交替で出場。中盤のセンターで、やはり元佐川東京の戸田有悟とコンビを組んだ。しかし右サイドの決壊現象は解消されなかった。それまで中盤のセンターにいた沖本惇壮が右サイドへ。サイドバック鈴木洵也と右の布陣を形成したが、結局このポジションチェンジだけでは鶴牧SCの勢いを受け止め切れなかったことになるのだろう。
 28分に鶴牧SCが再び左サイドからのゴールで追いつき、ペースを握ったままタイムアップ。余裕綽々の鶴牧SCは一度もPKを外さず、逆に顔色を失った東京ベイFCはふたりが外し、勝負は決した。
 元年代別日本代表、Jリーガー、JFLプレーヤーを抱え、関東リーグ昇格を狙う。そんな名の知れたチームが、東京カップの緒戦で敗れた。天皇杯と同時に全社への道も断たれた。赤っ恥もいいところである。

 しかしこれがサッカーだ。ぬかるんだピッチ、不安定なジャッジ。その条件は相手にとっても同じことだ。でも気にしすぎたのはどちらだったか。
 35分ハーフ。後半20分まで2-0でリードしていたら、ゲームを閉じにかかるのはまっとうな判断だ。だが閉じきれず、カップ戦で格上と戦う機会を失った。リーグ戦までの期間をどう過ごすのか。実戦経験は確実に少なくなる。
「出港、即座礁」
 敗戦後、クルーのひとり、通称「オーナー」が呟いた。座礁した船を、なんとかして沖合いに出さなくてはならない。クラブ史上初の挫折。損失はちいさくない。

 プライドを取り戻すには、リーグ戦で結果を残すしかない。

(文・後藤勝)
posted by 3rdFlightFootball at 22:02 | TrackBack(4) | 天皇杯 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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