2008年11月10日

029【関東社会人】「東京王者“BUILCARE”ベスト4進出!」(第42回関東社会人サッカー大会2回戦/11月9日/横浜猛蹴 vs. (株)日立ビルシステムサッカー部/神奈川県立体育センター陸上競技場)

 小田急江ノ島線の善行駅を降りてすぐ「第42回関東社会人サッカー大会会場」と記された看板の脇をくぐると、そこはじつに立派なスタジアムで、思わず感嘆の声を上げてしまった。
 Jリーグを見慣れた目からすれば“みすぼらしい”と言ってもよいのかもしれない。しかしふだん都リーグで使っている普通のグラウンドと比べたら、その品格のちがいは一目瞭然である。かつて神奈川サッカー界のメインスタジアムだった県立体育センター陸上競技場は、神奈川社会人サッカーのメッカとして、いまも生命を吹き込まれている。
 試合前、横浜猛蹴(たける)の関係者がスタンドからピッチに向かい、ボールを拾うように指示すると、下に居た選手からは「拾わなくていいんですよ」という声が返ってきた。なんとこの会場には8人のボールパースンが用意され、マルチボールシステムでゲームが行われるのだ! 気まぐれなギャラリーからの返球を待つのが当たり前の都道府県リーグを思えば、なんと本格的なのだろうとの感慨を禁じえない。日々の試合結果更新とあわせ、ホストである神奈川県サッカー協会のやる気がうかがいしれる。

 2回戦第1試合は隣の球技場に数十秒遅れて始まった。先にペースをつかんだのは、若さをみなぎらせ、ガツガツと勝負に来る神奈川県リーグ1部1位の横浜猛蹴。蹴って走るスタイルかと思いきや、個人技やワンツーで狭いスペースを突こうとする意欲もあり、なかなかに面白みがあるチームだ。
 いっぽう、その欧文企業ロゴから“BUILCARE”の愛称で親しまれる、東京都リーグ1部1位の日立ビルシステムも負けてはいない。15分過ぎから決定機を作り始めると、MF山口のロングスローを中心に主導権を奪い返し、前半も真ん中を折り返してからは、ほぼ日立ビルシステムのゲームとなった。
 キレイに4-4-2の布陣を保ち続けた両チームは、相手守備を崩しきることなく、0-0で前半を終えた。

 ハーフタイムが明け、後半開始直前。円陣を組む声は上下青のユニフォームに身を包んだ横浜猛蹴のほうが大きかった。女子マネージャーの存在もあり、まるで部活の雰囲気。若さとはいいものだと思っていると、ひとり遅れた選手がベンチのサブメンバー数人と肩を組み、ピッチへ出て行く。えてして勝負事ではこういうリズムの選手がヒーローに躍り出たりするものだが──。
 いっぽう、柏レイソルと同じ配色のユニフォームに身を包んだ日立ビルシステムは、ゲーム運び同様の落ち着きぶり。この差が試合にどう現れるか。

 後半7分に日立ビルシステムの14番吹原がシュートを左に外すと、11分には横浜猛蹴で名目上監督・コーチ・主将を兼任する28番鳥毛が後方からのパスをヘディング、左に外す。そうしてほぼ互角の展開で進んだ17分、個人技で左サイドから中央へと割って入った20番斉藤のパスを受けた鳥毛がシュート! その跳ね返りを、遅れて入場した件の選手が押し込む。ついに均衡が破れたかと思われたが、判定はオフサイド。彼はヒーローになりそこねた。
 こうなると流れは日立ビルシステムのもの。途中出場のFW鶴岡が右サイドを突破して吹原にパス。すぐさま蹴ったシュートはキーパーに弾かれるが、そのリバウンドを再び蹴り込み、ついに先制。勝利がグッと近づいた。

 しかしそうは問屋が卸さないのが関東社会人。上のカテゴリーにおける地域決勝もそうだが、この種の短期決戦は内容だとか実力を超えた次元の勝負となる。フットサルのような足裏のテクニックを駆使し、ゴリゴリと突き進む斉藤、そして途中出場の16番川崎健太郎(※カターレ富山の選手と同姓同名だが別人である)、ふたりの個人技を軸に横浜猛蹴が猛反撃。40分、斉藤の蹴った右コーナーキックがファーに飛ぶと、その折り返しを19番坂本がシュート。これは弾かれるが、川崎が押し込んでゴールを決めた。試合終了間際、執念の同点劇。
 そう、これは関東リーグへの昇格を狙うと同時に、地域の覇権を賭けた「関東チャンピオンズカップ」と言ってもいい大会。勝利の女神が簡単に微笑んでくれるはずがない。日立ビルシステムは終盤に退場者を出し、悪いリズムのまま後半を戦い終えた。今年は規定により延長戦がなく、すぐにPK戦。結果的にこれが日立ビルシステムに味方した。
 4本目までに日立ビルシステムはふたり、横浜猛蹴は3人が外し、日立ビルシステムが1点リード。最後はキッカーとして攻撃を形作ってきた山口が、左足でゴール右隅へ速いシュートを蹴り込んで勝負あり。苦しみぬいた日立ビルシステムが準決勝進出を決めた。

 試合後、チームを代表して日立ビルシステムの飯島幸嗣監督に総評をうかがった。
──きょうの評価をお願いします。
「最終的には一発勝負を気持ちで勝ったという部分があるので、この流れを変えずに(次の準決勝も)行きたいと思っています」
──短期決戦ではなかなか実力どおりの結果になりづらく、難しいですね。
「ぼくたちがめざすところは、その先です。勝ちにこだわりながらもゲームをコントロールしていく、というところ。きびしいゲームながらも勝ちにつなげることができたのは、そのゲームコントロールのおかげなのかな、と」
──いつもの「人とボールが動く」というサッカーは出し切れなかった部分もありますか。
「すべてがそうだったとは思っていないです。選手の意識としては、局面では表現できた。ただその回数を増やしていかないと、ぼくたちがめざしているところには辿り着かないかなと思います。ちょっと厳しい目で見ていますが」
──ゲームの支配権を握ったあと、追いつかれてしまったのは何が足りなかったのか。
「あそこはやはり、間延びしてしまった。相手も、最後の最後でイキのいい選手を入れてきてイケイケのなかで、プレーをさせるスペースを与えてしまった。受身になった悪いタイミングでコーナーキックを与えてしまいました。精神的なところとゲームの流れで、いちばん……なんというのか、あってはいけないコーナーキックでした。時間帯も含めて。ゲームを切り、リセットして自分たちのディフェンスを見直すことができなかったのが失点の原因だと思います。間延びすることなく、積極的なディフェンスをやればよかった」

 昨年につづきベスト4中3チームを東京勢が占めるかと思われたが、日立ビルシステムの選手、スタッフが見守るなか、FC新宿は横浜GSフットボールクラブ・コブラに敗れた。前日の1回戦につづき、決勝点を決めたのは外池。あの外池大亮である。
 日立ビルシステムサッカー部は所属企業の理解を得、関東リーグで戦うことを目標としているという。その夢の舞台まであと1勝。しかし、外池擁する横浜GSフットボールクラブ・コブラが眼前に立ちふさがる。外池を抑えながら、リーグ戦で見せたようなムービング・フットボールで主導権を握り、得点することができるのか。
 注目の一戦は11月15日(土)11時、相模原麻溝運動公園競技場にてキックオフ。

(文・後藤勝)

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(写真・後藤勝)
タグ:関東社会人
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