2008年11月07日

028【天皇杯4回戦】「格上相手だから出来ること」(第88回天皇杯全日本サッカー選手権大会4回戦/11月2日/ジュビロ磐田 vs. 栃木SC/ヤマハスタジアム)

 天皇杯も4回戦まで進むとJ1チームが登場する。ここからはJチームが主役となり、元旦国立を目指す争いが本格的にスタートすることとなる。
 「本当の日本一決定戦」と大会公式パンフレッドに書かれている天皇杯全日本サッカー選手権大会だが、熾烈な優勝争い・残留争いをしているJのチームにとっては元旦国立よりも目の前のリーグ戦の勝利が重要だ。そのため、格下が相手となる4回戦では一部J1チームはJリーグの試合とはメンバーを入れ替えて天皇杯へ臨むことがある。
 先日行われた天皇杯4回戦ではジェフユナイトッド千葉と大分トリニータがリーグ戦とメンバーを入れ替えて試合に臨み、犬飼日本サッカー協会会長より苦言を呈されたという報道もある。だが、メンバーを入れ替えたのは千葉・大分だけではない。

 11月2日に行われたJ1所属のジュビロ磐田とJFL所属の栃木SCの試合でジュビロ磐田は直前のJ1リーグからスターティングメンバーを実に10名入れ替えて試合に臨んだ。チームはJ1残留争いの最中にあり、主力を温存したと言われても否定できないだろう。
 一方、格下の栃木SCは当日考えうる最強のメンバーで試合に臨んだ。

 主力を温存することは観客と大会の格に対して失礼だ。という意見もあるが、格下のチームからすればチャンスが増えることを意味する。JFLで調子の上がらない栃木SCにとってはチームが自信を取り戻す絶好の機会ともなる可能性がある一戦だ。


 J1で30節が終了時点で17位と自動降格圏内にいるジュビロ磐田にとって、最優先課題はもちろんJ1での残留。主力を温存しスターティングメンバーを大幅に入れ替えたものの3-5-2と、固定化されたフォーメーションをとった。
 一方の栃木SCは3日前に行われたガイナーレ鳥取戦と同じく、1トップの下に2人の選手を並べる1トップ2シャドーの3-6-1で試合に臨んだ。

 試合は前半、前線と守備陣とが間延びして中盤のプレッシャーをかけられないジュビロ磐田に対し、栃木SCは中盤で自由にパスを回してボールを支配。しかし、ボールは支配するもののジュビロ磐田の3バックを崩すことが出来ず、バイタルエリアの前でボールを動かし続けることは出来るもののゴール前で決定的な攻撃を見せることは出来ない。
 逆にボールは支配されるものの個々人の能力に勝るジュビロ磐田は固い守備からボールを奪い、前線の2トップ、中山雅史、カレン ロバートの個人技を中心に反撃を試みる。
 すると前半43分、ジュビロ磐田はFKからボランチ河村崇大がフリーで抜け出しヘディングでゴール。ワンチャンスをゴールに結びつける個人の強さを見せ、前半はジュビロ磐田の1点リードで折り返した。

 後半、先制したジュビロ磐田は前半よりも積極的な動きを見せ始め、中盤でのプレスを強めて試合の主導権を握る。劣勢に立たされた栃木SCだが、攻勢に出てDFラインを上げて来たジュビロ磐田の裏を突くことに成功。後半21分にDF山崎透がインターセプトから1トップ松田正俊とのワンツーからDFラインを抜け出した佐藤悠介へパス。佐藤はドリブルでジュビロ磐田守備陣を抜け出して冷静にゴールへ流し込み、同点に追いついた。
 劣勢の中での同点に沸き立つ栃木SCゴール裏と選手は逆転へ向けて士気を高めたが、その僅か3分後にカウンターから中山が体勢を崩しながらもゴール。更に後半27分にもカウンターから途中交代、太田吉彰にゴールを決められて試合終了。
 終わってみれば3-1でジュビロ磐田がJ1チームの貫禄を見せた結果となった。


 木曜日にガイナーレ鳥取との準加盟同士の負けられない試合を行い、中2日で試合を行った栃木SCのコンディションが万全でなかったことは確かだ。
 チーム全体として見れば、特に前半はジュビロ磐田には集中力に欠けるプレーも見受けられ、栃木SCの方が気持ちの入った試合展開を見せた。栃木SCのコンディション面が良ければ、前半はあるいは?という場面もあった。また、8日間で3試合をフル出場した3バックが試合後半に足が止まらなければ、結果は違ったものとなったかもしれない。
 だが、それとは別にここぞの勝負強さではジュビロ磐田が一枚上手であった。決定的な仕事をいかに正確にこなせるのかという選手個々人の能力は、コンディション以上の差があった。

 ここ数試合栃木SCの課題はゴール前での勝負強さだ。JFLでも中盤ではボールを保持できるものの、ペナルティーエリア内で勝負する動きは少ない。この試合の前半でも同じことが見えた。
 後半の得点シーンは相手のDFラインが上がった状態でのカウンターからの得点であり、ボールを保持して相手を崩した形ではなかった。

 JFLでの栃木SCは警戒される存在であり、相手は引いて守ることが多くカウンターから得点を奪うことは難しい。天皇杯4回戦のように、格上でも前へ出てくる相手に対しては得点を奪う力はあるだけに、いかに引いた相手からゴールを奪うのか?そこに栃木SCの課題が存在する。

(文・北沢耕一)

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栃木SCと苦楽を共にしてきたサポーターにとって、J1チームとの対戦は大きな意味を持つ。(写真・北沢耕一)
posted by 3rdFlightFootball at 23:52 | TrackBack(0) | 天皇杯 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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