2008年11月05日

026【JFL】「勝点1の価値」(2008JFL後期13節/10月30日/栃木SC vs. ガイナーレ鳥取/栃木県グリーンスタジアム)

 栃木SCが天皇杯4回戦へ進出したために日程を変更して行われたこの試合は、ともに日曜日の試合から中3日というタイトなスケージュールでの一戦となった。
 この試合を入れても残り5試合となったJFL終盤戦。Jリーグ準加盟が承認されている両チームの勝点差は4、得失点差は0と拮抗している。4位以内が条件となっているJ参入のために叩いておきたい準加盟同士の対戦は、平日にも関わらず2,704名の観客を集めて19時にキックオフした。


 12節が終了した時点で3位の有利な立場にいる栃木SCだが、チームの状態は万全ではない。
 前期を首位で折り返しJFL代表として天皇杯出場権を獲得した栃木SCだが、7月19日の後期第4節流通経済大学戦から勝利に見放されている。10月12日に行われた天皇杯3回戦ではそれまでの4-4-2を3-5-2と改め、J2ロアッソ熊本に勝利。
 浮上のきっかけを掴んだように見えたがその後のリーグ戦では2戦続けての引き分けと、未だトンネルから抜け出せていない。

 それまで取り組んでいた4-4-2を捨ててのシステム変更は各選手のマークがはっきりすることで守備の安定に繋がったものの、攻撃の核となるMF佐藤悠介をボランチに下げる結果となった。そのため、守備の安定と引き換えに攻撃の起点が下がり、攻撃のバリエーションが減る結果に繋がった。
 如何に3バックで守備の安定を図りつつ佐藤悠介を前線近くまで持っていくのか?柱谷幸一監督はガイナーレ鳥取戦でその問いに対する答えを3-6-1という再度のシステム変更で見せた。
 ボランチを「守備の鴨志田」と「展開力の落合」どちらかに任せるのではなく、2人を同時に並べることによって佐藤をよりゴールに近い位置に配置。1トップの松田正俊のポストプレーを起点とし、佐藤と小林成光の2人に攻撃の組み立てが託された。


 一方、12節終了時点で5位と追う立場のガイナーレ鳥取は調子を上げてきている。
 ゴールデンウィーク明けまでの10試合で3勝1分6敗と、一時期は4位以内が大きく遠のいたものの、その後は上位チームの息切れもあり順位を上げてきている。とはいえ、順位浮上に繋がる大事な一戦をたびたび落とし、財務面ではJリーグから問題を指摘されるなどJ参入へ向けて順風満帆とは言えない。
 しかし、秋になりヴィタヤ監督が「精神的な柱」と表する元日本代表DF小村徳男が怪我から復帰。また9月18日にJ1 FC東京から加入したボランチ鈴木健児などの新戦力により、ここにきてチーム守備が安定。
 新加入選手との兼ね合いから4-4-2から3-5-2、3-4-3と最適なシステムの模索は続いているものの、10月に入り3連勝と希望が見えてきた。

 この試合、チームは前節の横河武蔵野FC戦でも結果を出した3-4-3のシステムでこの試合に臨んだ。
 試合前、ヴィタヤ監督は「相手がシステムを替えてきて難しい。でも、両サイドを固めながらゴールを狙いたい。アウェイだし、最低でも勝点1を持って帰りたい」とコメント。このコメントどおり、ガイナーレ鳥取は固い守備を見せた。


 試合は序盤、ガイナーレ鳥取ペース。攻撃時は3-4-3となるものの、守備時はトップに田村祐基を一人残す5-4-1でゴール前を固めるガイナーレ鳥取。特にバックの5人が45.90mのピッチサイドに広がって両サイドに蓋をする守備に戸惑う栃木SCはボールを奪われ、カウンターからピンチを招いた。
 しかし、序盤のピンチをGK小針清允のセーブで凌ぐと、栃木SCは前半12分過ぎからミドルシュートで徐々に主導権を引き寄せる。さらに前半20分過ぎからは右サイドの岡田佑樹を中心に個人でのドリブル突破を図る。
 この個人技での打開に5バックで広く薄くラインを構築するガイナーレ鳥取守備陣が受身に立つと、主導権は完全に栃木SCへ。

 前半30分からはほぼ栃木SCのワンサイドゲームとなると前半35分、CKから松田が押し込みゴール。一旦相手GKが触ったボールに喰らいついた松田の開幕戦以来となる今季2ゴール目で栃木SCが先制した。
 1点を奪われた追うガイナーレ鳥取だが、前に出ることなく、あくまで守備に重点を置いて前半を終了した。


 ハーフタイムに選手交代で1トップ2シャドー気味に前線のシステムを入れ替えたガイナーレ鳥取は後半開始から攻勢に出る。
 後半2分に奪ったボールを素早く前線へ運んだガイナーレ鳥取は左サイドへ開いた小井手翔太からのクロスを田村が頭で合わせて同点。
 その後も前半よりも両サイドが高い位置に陣取るガイナーレ鳥取。両サイドが高い分リスクはあるものの、前半よりも前へ出る姿勢を見せるガイナーレ鳥取とその裏を突こうとする栃木SC。後半は両チームによるサイドの攻防を中心に互いに攻め合いつつもゴールを奪えず、試合は1-1で終了した。


 ヴィタヤ監督自身が「今年は多い」と口にする弱点であるセットプレーからの失点はあったものの、後半はプラン通りに点を返してアウェイで勝点1を手にしたガイナーレ鳥取。
 一方の栃木SCは佐藤をより攻撃的な位置におき、相手の5本の倍以上となる13本のシュートを放ちながらも追加点が奪えなかった。

 共に勝点1を分け合った両チームだが、上位チームとの直接対決を終えている好調ガイナーレ鳥取と、後期16節にファジアーノ岡山との直接対決を残している不調栃木SC。
 同じ勝点1でも、チームに与える心理的な価値には差がある。




 残り4節となり、J参入条件の4位以内にHonda FCが入ってくることが確定している今季のJFL。
 栃木SC、ファジアーノ岡山、カターレ富山、ガイナーレ鳥取の4チームのうち、4位以内に入れるのは残り3チーム。必ず1チームが5位以下となるサバイバルが始まった。

 数字の上では勝点55に栃木SCとファジアーノ岡山、勝点54にカターレ富山。そして勝点51にガイナーレ鳥取となっており、ガイナーレ鳥取が不利な状況だ。
 だが、ここからは数字上での差以上にチーム状態が試合結果に表れる。
 現在の順位は関係無い。リーグ終了後に何位にいるのか?それだけが問われる本当の戦いは、これからが本番だ。

(文・北沢耕一)
posted by 3rdFlightFootball at 01:27 | TrackBack(0) | JFL | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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